診療科・部門紹介

心臓血管外科

左心低形成症候群 Hypoplastic left heart syndrome(HLHS)

僧帽弁から左心室、大動脈弁、上行大動脈、弓部大動脈までが低形成(作りが小さい/欠損)する疾患です。
これらの部分は心臓で重要なものですが、それらが低形成でも循環は成り立ちます。つまり、生まれた直後は動脈管が開いているので、動脈管を通して大動脈へ血流が送られ、全身の臓器への血流が保たれます。しかし、徐々に肺の血管抵抗が下がってくるに従い、肺の血流が増え、全身への血流が少なくなってしまい、臓器不全が起きてきます。
残念ながら、この低形成な部分すべてを大きくする治療法はありません。 

当院では、新生児期(生後28日未満)の人工心肺装置を使った手術を避ける目的で、左心低形成症候群では、最初の手術として両側肺動脈絞扼術(図)を基本としています。この手術で肺の血流を適正化させますが、動脈管は開存させておく必要があるので、プロスタグランジンの点滴は継続されます。

 

心臓シェーマ

心臓シェーマ

約1ヶ月後に、ノルウッド手術を行います。(図)
この手術では、人工心肺装置の補助下に、肺動脈の本幹を新しい大動脈とし、これを本来の上行大動脈〜弓部大動脈〜下行大動脈へつなげ、肺への血流は右心室や上半身の動脈から左右の肺動脈へ人工血管をつなぐことで維持します。当院では、手術中に下半身への血流を維持する工夫(下行大動脈送血)を行っております。また当院では、低形成な弓部大動脈を補うため、ホモグラフト(凍結保存同種組織)を用いることも出来ます。

心臓シェーマ

手術後は、右心室で体血流と肺血流を維持することとなり、このバランスを取ることが重要となります。特に手術直後はそのバランスが崩れやすいので、麻酔(深鎮静)を継続し、開胸状態として心臓の圧迫を避け、数日間経過を見て、安定した時点で胸を閉じます。
その後、問題が無ければ退院し、生後3ヶ月から6ヶ月を目安にグレン手術を行います。その後は他の機能性単心室症と同様により良好なフォンタン循環を目指します。

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