診療科・部門紹介

麻酔科

外来週間担当表

1)麻酔の目的

 麻酔の目的は手術や検査をするときの痛みを取り除くこと,意識をなくしたり筋肉を柔らかくして操作を容易にすること,手術や検査が安全に達成されることです。麻酔中は呼吸や脈拍,血圧などを常時監視して必要に応じて呼吸を補助したり輸液や投薬をおこないます。術後の痛みに関しても出来る限り抑えられるように配慮しています。また,お子様の場合は成人よりも麻酔・手術に対する不安が強いことが多いので不安を軽減することも大切です。

2)麻酔科の流れ

  • 術前診察
  • 麻酔科医の知りたいこと
  • 麻酔の説明と同意
  • 術前絶飲食
  • 麻酔前投薬
  • 手術室入室
  • 麻酔導入
  • 麻酔覚醒
術前診察

 麻酔をかける前には必ずご本人を診察させていただきます。全身を観察することで麻酔に影響のある身体的特徴がないかチェックさせていただきます。聴診では心臓の病変がないか,呼吸音に問題がないかなどを中心に診ます。特に風邪を引いて痰が絡んでいたり,喘息の影響で呼吸音がヒューヒューいっていないかなどが重要になります。口が大きく開くか,抜けそうな歯がないかなどもチェックします。保護者の皆様の心配やお子様の不安などについてもお話をお聞きして対応させていただきます。

麻酔科医の知りたいこと
  1. 最近風邪を引いたことがありませんか?また今,風邪の症状はありませんか?
    風邪を引いていると麻酔中に血液中の酸素が低くなったり,痰が多いと無気肺という肺に空気の入らない部分ができたりします。風邪症状が治ってから2週間以上間隔を開けることが推奨されています。
  2. 喘息はありませんか?
    全身麻酔,特に気管に管を入れることで発作が誘発されることがあります。最近の発作とその様子を記録しておいてください。
  3. 薬や食べ物にアレルギーはありませんか?
    麻酔薬の中には食べ物と共通したアレルギーを起こすものがあります。また術中に使用する薬物にアレルギーがある場合は使用を避けます。
  4. 抜けそうな歯はありませんか?
    麻酔中に歯が抜けて気管に入ってしまうと大変危険です。抜けそうな歯で乳歯の場合には麻酔の導入の途中で抜いてしまうことがあります。
  5. これまで麻酔歴
    これまで麻酔を受けたことのある場合,麻酔後に吐き気が強かった,興奮して暴れたなど病棟での様子をお知らせください。
  6. 内服している薬はありますか?
    内服している薬は継続する必要のあるものと中断するものがあります。お薬手帳をお持ちください。
  7. 家族歴
    麻酔の合併症の中に悪性高熱症という麻酔薬に反応して高い熱が出てショックになってしまう病気があります。極めて稀な病気ですが,遺伝的背景のある病気なので血縁の方の手術・麻酔歴と麻酔で異常がなかったかを教えてください。また筋ジストロフィーのような筋疾患とも関連があるので併せてお知らせください。
麻酔の説明と同意

 診察が終わったら次に麻酔の説明を行います。麻酔法はお子様の状態,病気の種類,手術や検査内容を検討し麻酔科医が最適と判断したものを選択します。麻酔法についてご説明するので疑問があれば遠慮なくお聞きください。説明をお聞きになって十分納得できましたら同意書にご署名ください。

術前絶飲食

 麻酔をかける時には吐いたものを誤嚥するのを予防するために胃の中は空でなければいけません。術前の食事摂取の内容と時間,水分摂取の内容と時間について指示がありますので必ず守ってください。

麻酔前投薬

 麻酔前の緊張を和らげるために投与するお薬のことです。年齢,全身状態によって前投薬をしないこともあります。薬は多くはシロップですが,錠剤のこともあります。前投薬内服後はふらつきが出るので,転倒や転落に気をつけてください。

手術室入室

 手術室入室時間になったら病棟看護師と一緒に手術室に向かいます。手術室ではお気に入りの音楽をかけたりDVDを用意したりしてできるだけお子様の不安を除く努力していますが,それでも保護者の方と別れて入室を嫌がる場合は保護者の方と一緒に麻酔導入をすることもできます。

麻酔導入

 あらかじめ点滴が入っていたり点滴をとらせてくれる場合は静脈麻酔薬で麻酔を導入します。それ以外の場合は吸入麻酔薬というガス状の麻酔薬を吸ってもらいます。静脈麻酔薬はあっという間に効きますが,吸入麻酔薬は数分かかります。あらかじめマスクにバニラやイチゴなどの匂いをつけてあります。麻酔のかかり始めは少し興奮しますが,正常な反応なので心配しないでください。その後はその手術や検査に最適と思われる方法で麻酔を維持します。

麻酔覚醒

 手術や検査が終わると麻酔を醒まします。麻酔覚醒時に興奮することがありますが,これは痛みとは直接関係ないと言われています。興奮を抑えるために鎮静薬を投与することがあります。その場合は眠った状態で病棟に帰ることになります。通常は帰室数時間でしっかり覚醒し,飲水や飲食が可能になりますが,手術の内容によっては術後も絶飲食が続く場合もあるので指示に従ってください。

3)麻酔の手技について

気道確保

 気道とは口鼻から気管までをいいます。麻酔中は呼吸を補助することが必要になりますが,気道が通っていないと有効な換気ができません。気道確保にはマスク,口の奥に入れるマスク(ラリンジアルマスク),気管に管を入れる気管挿管などの方法があります。気管挿管の場合は喉頭鏡という口を開けて気管を覗き込む器械を使いますが,管が入りにくいと歯に負担がかかってぐらついたり抜けたりすることがあります。

硬膜外麻酔・脊椎くも膜下麻酔(腰椎麻酔)

 硬膜外麻酔は背中あるいは尾てい骨の部分から,脊椎くも膜下麻酔は背骨の間から針を刺します。術前診察で尾てい骨の様子を観察するためにお尻を見せてもらうことがあります。成人では覚醒したまま局所麻酔を使用して針を刺しますが,お子様の場合は全身麻酔をしてから施行します。硬膜外麻酔の場合はさらに細い管を硬膜外腔に留置して術後も局所麻酔薬を持続的に注入して痛みを抑えることができます。

末梢神経ブロック

 腕や足の手術,臍ヘルニア,鼠径ヘルニア,陰嚢水腫,停留睾丸の手術などでは脊髄から出た神経を足の付け根や脇腹などのより末梢で麻酔する方法です。

中心静脈穿刺

 中心静脈というのは首や足の付け根の太い静脈を指します。心臓の手術や大きな外科の手術,あるいは長期に点滴が必要な場合などに行います。

4)よくある質問とお答え

  1. 小さなこどもに麻酔をかけて安全ですか?
     麻酔は手術や痛い検査を行うために欠かせない非常に優れた医療です。しかし麻酔薬を使って痛みや反射を抑えたり,いろいろな処置を行うので100%安全で全く偶発症がないというわけにはいきません。日本麻酔科学会の調査では麻酔に関連した死亡率は約10万例に1例ということになっています。私たちはより慎重に安全な麻酔を提供するように日々努力しています。
     また長期にわたる麻酔の影響については動物実験で麻酔薬や鎮静薬の一部が生まれたばかりの動物の脳の神経細胞に障害を起こすことが報告されています。しかし現時点では人間では小児期に使用した麻酔薬がその後の発育に影響をおよぼすかどうかは確認されていません。ご心配の方は麻酔担当医にお尋ねください。
  2. プロポフォールという麻酔薬で事故がありましたが,問題はないですか?
     プロポフォールという薬は日本では15年,世界では20年以上使用されている実績のある麻酔薬です。集中治療室で長時間大量投与されるとプロポフォール症候群という心停止を含む病態になることが報告されています。当院では麻酔中の使用に限っており,過量投与にならないように慎重に投与しています。
  3. 長い手術で途中で麻酔が醒めてしまうということはありませんか?
     長時間の麻酔でも麻酔科医がずっとつきっきりでモニターを監視して適切な麻酔を維持していますので途中で醒めることはありません。
  4. こどもには心配させたくないので手術ではなく検査だといってもよいですか?
     できるだけ本当のことを伝えてください。こどもは嘘が嫌いです。最初は嫌がるかもしれませんが,きちんと伝えるとほとんどの場合,理解してもらえます。
  5. 麻酔からはいつ醒めますか?
     心臓の手術や大きな手術で気管挿管したまま集中治療室に帰る場合などを除き,手術室から退室するときにはかなり麻酔から醒めています。ただ覚醒するときに興奮した場合,鎮静薬を投与することがあるので,その場合はしばらく眠っていることもあります。
産科麻酔について

 帝王切開術の麻酔の第一の目的はお母さんの手術が痛みなく安全に終了することですが,同時にお腹の赤ちゃんには麻酔の影響ができるだけ少ないことが大切になります。通常脊椎くも膜下麻酔か硬膜外麻酔で下半身だけの麻酔をおこないます。背骨の手術をしたことがある場合や緊急で背中からの麻酔ができない時には全身麻酔をおこないます。胎盤を介して赤ちゃんに麻酔薬が入るのをできるだけ防ぐためお腹の消毒が終わって手術の準備が全て整ってから麻酔をかけます。

もっと詳しく麻酔についてお知りになりたい方は,
日本小児麻酔学会のホームページもしくは日本麻酔科学会ホームページをご覧ください。

ドクター紹介

川名 信 かわな しん
職名副院長(麻酔集中治療担当) 兼 集中治療部長 兼 手術部長 兼 集中治療科科長 兼 麻酔科長 兼 医療安全推進室長
主な資格麻酔科標榜医
麻酔科指導医
日本小児麻酔学会認定医
日本小児麻酔学会評議員
東北大学医学部臨床教授
PALSインストラクター
井口 まり いのくち まり
職名部長
主な資格麻酔科標榜医  
麻酔科指導医
五十嵐 あゆ子 いがらし あゆこ
職名部長
主な資格麻酔科標榜医
麻酔科指導医
篠崎 友哉 しのざき ともなり
職名部長
齋藤 秀悠 さいとう ひでひさ
職名後期研修医
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