診療科・部門紹介

消化器科

外来週間担当表

 小児領域の消化器疾患を担当する医療機関は少なく,宮城県のみならず隣県からも多数ご紹介いただいています。便秘や血便の精査・管理目的から炎症性腸疾患の難治例、急性肝不全などの重症度の高い症例の治療まで対応しています.治療は、生物学的製剤、血球成分除去療法、血液浄化療法、外科治療などの高度な専門的医療にも対応しています。

 2017年度の消化管内視鏡検査は、計314件(上部143件、大腸103件、ダブルバルーン小腸内視鏡41件、カプセル小腸内視鏡27件)でした。他にも肝生検15件、上部消化管造影+24時間食道内pHモニタリング21件、内視鏡処置20件(消化管異物摘出術、大腸ポリープ切除術、吻合部狭窄に対するバルーン拡張術など)を行いました。気管・喉頭ファイバースコピーも実施しています。

 学会・研究会等での発表、講演・講義、論文作成などの学術的活動も活発に行っています。2018年7月には第35回日本小児肝臓研究会を主催しました。また、多施設共同研究や治験、厚労省研究班、診療ガイドライン作成にも数多く参画しています。
広報紙「いのちの輝き」第51号

対象疾患・病態

消化器・栄養に関連する疾患を担当しています。

  • 腹痛(急性、慢性・反復性)
  • 嘔吐(肥厚性幽門狭窄症、胃食道逆流症)
  • 消化管出血(吐血、下血)
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • 胃十二指腸潰瘍
  • 機能性消化管障害(過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア)
  • 慢性便秘症
  • 慢性下痢症
  • 肝炎・肝障害・肝不全
  • 先天性胆道拡張症
  • 胆道閉鎖症
  • 新生児胆汁うっ滞
  • 体重増加不良
  • 肥満症

よくある疾患

  • 潰瘍性大腸炎
     潰瘍性大腸炎とは大腸の粘膜の浅いところに、びらんや潰瘍ができる炎症性腸疾患です。有病率は10万人あたり100人程度、男女比は1:1で、発症年齢のピークは男性で20-24歳、女性で25-29歳ですが、5歳から15歳までの小児にも多く発症します。代表的な症状に、血便、下痢、腹痛などがあります。病変の分布の特徴として、肛門から連続的に口側に広がる特徴があり、病変の範囲によって直腸炎型(直腸のみ)、左側大腸炎型(直腸から下行結腸まで)、全大腸炎型(横行結腸より口側まで病変あり)に分かれます。診断のメインは内視鏡検査で行われますが、クローン病など他の消化管疾患との鑑別が必要なこともあり、大腸内視鏡と上部消化管内視鏡(いわゆる胃カメラ)の両方が必要になります。潰瘍性大腸炎の治療は原則的には内科的治療(薬物療法)ですが、重症な場合や薬物療法が無効な場合は手術が必要になります。治療により症状が消失することを寛解と呼びますが、再燃することも多く、寛解を維持するために継続的な内科的治療が必要です。

  • クローン病
     クローン病も炎症性腸疾患のひとつで、口にはじまり肛門にいたるまで、消化管のどの部位にも炎症や潰瘍を起こします。特に好発部位は小腸、大腸です。有病率は10万人あたり27人程度、男女比は約2:1で男性に多く見られ、発症年齢のピークは男性で20-24歳、女性で15-19歳と10代から20代の若年者に多く見られます。症状は潰瘍性大腸炎に似ていて腹痛、下痢、血便、体重減少などです。病変の分布が潰瘍性大腸炎と異なり、非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在)を特徴とします。診断のためには主に内視鏡検査を行いますが、大腸内視鏡、上部消化管内視鏡(いわゆる胃カメラ)、小腸内視鏡(小腸ダブルバルーン内視鏡、カプセル内視鏡など)と広い範囲の検査が必要になります。治療は内科治療が中心で大きく分けて栄養療法と薬物療法があります。潰瘍性大腸炎と同じく、治癒(完治)するということはなく、症状が発症するとまず寛解を目指します(寛解導入療法)。寛解に入ってからも、寛解を維持するための治療(寛解維持療法)が必要です。

  • ヘリコバクターピロリ感染症
     ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)はヒトの胃粘膜に持続感染する細菌です。日本では数パーセントの小児が感染しているとされています。家族内で感染することがあり、両親や祖父母にピロリ菌感染者がいた場合に子供も感染していることがあります。感染していても無症状であることが多いのですが、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、鉄欠乏性貧血、免疫性血小板減少性紫斑病といった病気を引き起こすことがあります。大人では胃がんの原因となりますが、小児で胃がんを発症することはほぼありません。慢性の上腹部痛、黒色便、貧血、血小板減少などがある場合にピロリ菌の検査が必要となります。検査には血液検査、便検査、呼気試験、内視鏡での胃粘膜培養検査などがあり、必要に応じて選択します。腹部症状が強い場合や急に貧血が進行した場合などは内視鏡検査を行います。ピロリ菌によって症状が起こっている場合は除菌療法が必要です。抗生剤と胃酸を抑える薬を組み合わせた内服治療を1週間行い、後に再度ピロリ検査を行い除菌が成功したか判定します。

  • 新生児乳児胆汁うっ滞性疾患
     胆汁は肝臓で作られる消化液で、肝臓から胆嚢・胆管といった胆汁の通り道(胆道と呼ばれます)を通って十二指腸に分泌されます。新生児期・乳児期には様々な原因によって胆汁の流れが滞り(胆汁うっ滞と呼ばれます)、分泌されない胆汁成分が肝臓内に蓄積し、体中をめぐって黄疸(皮膚や眼球が黄色くなる)を来すことがあります。正常な新生児にも黄疸は見られますが、生後数週間で自然に皮膚の黄色は薄くなってきます。胆汁うっ滞を来す病気の中には治療をしないと黄疸が改善せず、肝臓が障害されて生命に危険が及ぶものもあります。症状としては皮膚や眼球が黄色くなる以外に、便の黄色が薄いということが大変重要です。便の黄色や茶色は元々は胆汁の色なので、胆汁が分泌されていない病気があると白色やクリーム色、ベージュなどの色となります。母子手帳に便の色が番号分けされたカードが付属しており、このカードの1番から3番までの便色が続く場合は検査が必要です。便色が正常でも胆汁うっ滞が隠れている場合があり、黄疸が続いたり体重増加不良がある場合にも検査を行います。新生児乳児胆汁うっ滞性疾患は一つの病気ではなく、何十種類もの病気に分けられます。中でも胆道閉鎖症と呼ばれる病気は胆汁の通り道である胆道が詰まったり、消失したりする病気で、診断後なるべく早期の手術が必要です。早期発見のために便色が薄い場合は早めに医療機関を受診してください。

  • 便秘
     便秘とは便の回数が少なく出にくいことを言います。排便が週に3回より少ない、毎日排便するが痛みがある、排便時に出血するなどの症状があれば便秘を疑います。子供が便秘になりやすい時期は3つあり、離乳食の開始や完了の時期(食事の影響で便が硬くなります)、トイレトレーニングの頃(トイレやおまるに排便できないことを怒られると排便を我慢するようになってしまいます)、学校に通いだした時期(トイレを友達にからかわれるのではという恐怖心から)などです。便秘になってしまい一度硬い便が出て痛い思いをすると、排便が怖くなり、我慢するようになります。子供には「うんちをしないと体に悪い」という認識もないため「排便=痛くて怖いもの」になってしまうのです。我慢して腸に残った便は水分が吸収され、ますます硬くなるため便秘の悪循環を引き起こしていきます。便秘の治療ですが、食生活、生活習慣として、食物繊維の多い食事や乳酸菌を摂取する、規則正しい生活リズム、適度な運動なども効果があります。お菓子やジュースでカロリーをとると食物繊維が不足しがちになり注意が必要です。朝食後は大腸の運動が一番活発になるため、その時間にゆっくりとトイレに座る時間を確保してください。それでも改善しない場合は迷わず小児科で治療しましょう。便秘は薬や浣腸を使用して時間をかけて治療をすることが必要です。薬はくせになるものではないので安心してください。

Q&A

Q .便秘を治療しないでおくとどうなりますか?

A.
 便秘は小児の腹痛の最も頻度の高い原因です。排便時の痛みによる「排便=痛くて怖いもの」という意識をこどもが持ってしまうと、排便を我慢してしまい、それによりますます便が硬くなるという悪循環におちいってしまいます。どんどん便秘が悪化してしまい、最も重い症状になると「巨大結腸症」といって腸が異常に膨らみ便の塊の周囲からたまりきれなくなった便が少しずつ漏れる「便失禁」になることもあります。この段階では便意も感じなくなり、自分でも気づかないうちに便をお漏らしするため、こどもの自己評価の低下につながり心の問題にもつながります。早めに気付き、適切な対応をしてあげることが何より重要になります。

Q. 過敏性腸症候群とはどんな病気ですか?また、生活上気を付けるべきことはありますか?

A.
 腹痛や腹部の不快感に伴い、下痢や便秘を繰り返す症状を訴える子供は約10%程度いるとされています。成長障害や消化管出血がなく、血液検査や便検査、内視鏡などでも特に異常を認めない場合、過敏性腸症候群と呼ばれる病気である可能性が高くなります。この病気の詳しい原因は不明ですが、ヒトの脳と腸は自律神経を介して深く結びついており、ストレスなどに対する反応が過敏となり腸の運動が影響を受けている状態と考えられています。この病気の子供からは、日常生活で嫌なことがあったり、学校行事の前などにお腹の調子が悪くなると言った訴えが良く聞かれます。過敏性腸症候群と診断された患者さんの多くは数年以内に症状の改善を認めるとされていますが、残念ながら治療を開始してもすぐに症状が消えてなくなるわけではありません。腹痛や便通異常とうまく付き合いながら日常生活に支障がでない状態を目指すことが最初の目標となります。生活上気を付けることとしては、ストレスの原因となる事柄があれば家族や学校などと対応を検討すること、刺激物や冷たい飲み物などを取りすぎないようにすること、規則正しい生活を送ること、学校の先生と相談し授業中にトイレに行きやすいように配慮してもらうことなどの対応があります。様々なお薬がこの病気には使われていますが、どのお薬が効くかは患者さんによって異なります。薬物治療に関しては主治医とよく相談することが大切です。

こどもの肥満について

当院ではこどもの肥満も外来で治療しています。肥満は大人だけではなく、こどもにおいてもしっかり治療すべき病気です。

Q.どれくらい太っていると「肥満」というのですか?

A.
 子どもの肥満は主に肥満度というものを使って評価します。肥満度は、身長から割り出した標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示すもので、下記の式で計算されます。

肥満度=(実測体重-標準体重) / 標準体重×100 (%)

 20%未満が標準体型(幼児期では15%未満が標準体型)、20%~30%を軽度肥満、30%~50%を中等度肥満、50%以上を高度肥満と言います。ただし、2歳未満ではぽっちゃりしていても様子を見ていていいとされています。

Q.こどもが肥満になるとなぜいけないのですか?

A.
 肥満を基礎として、糖尿病、高血圧・高脂血症、高尿酸血症、脂肪肝など様々な生活習慣病を発症し、将来的に脳卒中や心筋梗塞の発生リスクを高めてしまいます。特に年長児の肥満ほど大人の肥満に移行しやすく、動脈硬化が早い段階から進んでしまいます。

Q.どれくらい肥満だったら受診した方がいいのですか?

A.
 母子手帳に添付されている成長曲線で標準と比べてどれくらい太っているかを調べてみましょう。慎重に比べて明らかに体重増加傾向が続いている時は、一度かかりつけの小児科を受診してみましょう。ただ体重を減らせばいいのではなく、成長・発達を妨げないように肥満を治療することが必要です。できるだけ早い時期に肥満の治療を始めることが重要です。

Q. 血便の原因となる病気には何がありますか?

A.
 便に血が混ざる血便は小児でも見られることがあります。同じ小児でも、赤ちゃんと中学生ではなりやすい病気が異なります。以下によくみられる病気について簡単に解説します。

  • 大腸リンパ濾胞増殖症
    赤ちゃんの便に点状〜糸状の粘血が混ざることがあります。体重増加が良好な母乳栄養の元気な赤ちゃんでよく見られ、多くの場合成長とともに自然に改善します。
  • 食物アレルギー
    牛乳などの食物へのアレルギー反応によって、乳児や幼児で血便を起こすことがあります。原因食物の除去や薬物治療が行われます。
  • 腸重積症
    腸管が腸管の中にめり込んでしまう病気です。幼児期までの小児で多くみられます。波のある(間欠的な)強い腹痛で発症し、イチゴゼリーのような血便が出ることがあります。腸重積症と診断された場合はすぐに病院で処置を行う必要があります。
  • 大腸ポリープ
    小児でも大腸粘膜が盛り上がったポリープができることがあります。診断には内視鏡検査が必要です。大きいものや出血を繰り返すものは内視鏡を使って切除します。
  • 炎症性腸疾患
    学童期以降で多くみられます。潰瘍性大腸炎、クローン病の項目をご覧ください。
  • 感染性腸炎
    ウイルスや細菌が原因の腸炎で、発熱や下痢に加えて血便を起こすことがあります。乳児から思春期までどの年齢でも起こります。症状が強い時は入院治療が必要となります。
  • 裂肛
    いわゆる「切れ痔」です。軟膏治療で多くは改善します。便が硬い場合に起こりやすく、便秘の治療を一緒に行う場合があります。

ドクター紹介

虻川 大樹 あぶかわ だいき
職名副院長 兼 成育支援局長 兼 総合診療科科長 兼 消化器科科長 兼 地域医療連携室長
診療領域・専門領域消化器・栄養疾患
資格等東北大学医学部臨床准教授
日本小児科学会専門医・代議員
日本小児栄養消化器肝臓学会運営委員・認定医
「子どもの心」相談医
角田 文彦 かくた ふみひこ
職名部長
診療領域・専門領域消化器・栄養疾患
資格等日本小児科学会専門医
日本小児科指導医
日本小児栄養消化器肝臓学会認定医
伊藤 貴伸 いとう よしのぶ
職名医師
星 雄介 ほし ゆうすけ
職名医師
梅津 有紀子 うめつ ゆきこ

職名医師(フェロー)
PAGE UP