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宮城県立こども病院血液腫瘍科は、良性悪性を問わず、血液や免疫の病気、あるいは「しこり」を作る腫瘍性の病気を担当する診療科です。2004年4月に開設し、現在は常勤医師5人の体制で診療を行っています。病棟には無菌室が2つ配備され、造血細胞移植などの高度専門医療を提供する環境を整備しています。当科では長期入院となる患児も多く、拓桃支援学校の先生方や保育士、チャイルドライフスペシャリスト、子ども療養支援士、臨床心理士、ソーシャルワーカー、遺伝カウンセラーなど成育支援スタッフとの連携を大切にしながらチーム医療を実践しています。外来は月、火(午後)、水、金曜の週4日行っています。
小児の血液・腫瘍・免疫の専門分野に関する患者紹介は広く県内外から受入れ、近接の東北大学小児科と緊密な診療連携体制を組んでいます。さらに研究面においても当科は東北大学大学院医学研究科連携講座小児血液腫瘍学分野として大学院生も受け入れ、小児の白血病や難治性血液疾患の病態解明並びに新規の診断・治療法の研究を行っています。またセカンドオピニオンの依頼にも対応しております。

診療内容

当科は、小児白血病研究会(JACLS)、及び日本小児がん研究グループ(JCCG)の一員として多施設共同研究に参加しており、悪性疾患等の化学療法は基本的にグループの定める治療を行っています。
造血細胞移植医療施設として、2007年12月に臍帯血バンクの施設認定、さらに2008年11月には骨髄バンクの施設認定を取得しました。現在ではあらゆる種類の造血幹細胞移植に対応し、自施設において滞りなく治療を遂行できるようになっています。移植実績も増加してきており、2021年4月末までにのべ81例(骨髄移植46例、臍帯血31例、同種末梢血幹細胞移植4例)の移植を行っています。2012年10月からは造血幹細胞移植後フォローアップ外来(SCT外来)を開設し、日本造血・免疫細胞療法学会の指定研修を終了した看護師とともに、造血幹細胞移植を終えた患児へのよりきめ細かい診療行っています。

非悪性疾患では、再生不良性貧血に対しては免疫抑制療法および同種骨髄移植を、特発性血小板減少性紫斑病に対してはガンマグロブリン療法やステロイド療法などを行っています。
血友病の専門外来は、毎月第4火曜日(午後)を設けており、県外からの患者さんも通院しています。当科では、血友病の定期フォローアップに加えて、積極的な家庭治療の実践とそのための学校の夏休みなどを利用した勉強会などを行っています。
一方で、血液腫瘍性疾患の病態解明や治療に関連した研究への参加、学会発表や論文投稿も積極的に行い、2008年度からは後期研修医も受け入れ、教育面でも小児がんや血液疾患の全般に渡り充実した研修が受けられるよう努めています。

施設認定

  • 日本血液学会認定研修施設
  • 日本小児血液・がん専門医研修認定施設
  • 日本造血・免疫細胞療法学会認定 非血縁者間移植施設
  • 日本がん治療認定医機構 認定研修施設
  • 日本血栓止血学会認定 血友病診療連携ブロック拠点病院
  • 小児がん
    血液のがん・・・急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群 等
    固形がん・・・神経芽腫 等
  • 良性血液疾患
    造血障害・・・再生不良性貧血 等
    貧血・・・鉄欠乏性貧血、溶血性貧血 等
    血小板減少・・・特発性血小板減少性紫斑病 等
    汎血球減少・・・血球貪食症候群、血球貪食リンパ組織球症、EBウイルス感染症 等
    血液凝固障害・・・血友病 等
  • 免疫不全症
    好中球減少症、X連鎖型無ガンマグロブリン血症 等

急性リンパ性白血病

小児期の起こるがんの中で一番頻度が高く、リンパ球ががん化して骨髄※中で増える疾患で、いわゆる「血液のがん」です。B細胞性とT細胞性の2種類に大別されます。治療の基本は抗がん剤を中心とする薬物療法で、放射線照射は晩期合併症(後述)の問題からなるべく行わないようになってきています。治療のための入院期間は半年~1年と長く、退院後も外来治療が1年半ほど続きます。治療期間は長いですが、近年の医学の進歩は目覚ましく、全体の生存率は8割を超え、多くの方が治る病気へと変わってきています。当科は日本中の多くの小児がん診療施設が参加している日本小児がん研究グループ(JCCG)の一員であり、当科で受ける治療は、日本のほとんどの病院で行われている治療と同じ内容です。治療して元気になった沢山の子どもたちが、いまでも元気に当科に通院しています。
※骨髄(こつずい):骨髄は骨の中にあるいわば「血液細胞の工場」で、血液に乗って血管の中を流れる3種類の血液細胞(白血球、赤血球、血小板)を産生しています。

急性骨髄性白血病

小児の急性白血病の中では、リンパ性白血病の次に多い病気です。顆粒球(リンパ球以外の白血球)、赤血球、血小板を作る元の血液細胞が成長する過程でがん化して骨髄で増える疾患です。がんになるタイミングややがんの原因となる遺伝子の傷(遺伝子異常)などによって、さらに細かく分類されます。
治療は急性リンパ性白血病と同じ抗がん剤による薬物療法が中心ですが、治りやすさの情報に応じて治療が異なってきます。入院治療はおおよそ半年~1年で、退院後の治療はなく、経過観察のみとなります。急性骨髄性白血病においても医療の進歩は目覚ましく、治療成績は向上してきています。

悪性リンパ腫

リンパ組織由来(おもにリンパ節)のリンパ球のがん化によっておこる「血液のがん」のひとつです。リンパ節以外の場所にも発生する可能性があります。このためリンパ節の腫れ以外にも様々な部分の腫れなどで気付かれることがあります。骨髄に浸潤したがん細胞が多い場合は急性リンパ性白血病の診断となります。腫瘍組織を採取し(生検といいます)、その病理検査の結果を中心に診断します。悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分かれますが、本邦では後者が大半を占めています。非ホジキンリンパ腫は、さらに細かく分類されていますが、同じ治療を行う分類としては大きく成熟B細胞性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫の3つのタイプがあります。各々の治療は、病気の進行度合いによって(病期といいます)4つに分かれており、治療期間や治療の強さもそれぞれ異なりますが、抗がん剤による化学療法が基本です。
治療成績は、細かい診断や病期によって異なります。成熟B細胞性リンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫は、病期が進行した症例でも比較的良好な治療成績が得られてきています。

再生不良性貧血

再生不良性貧血は、骨髄が機能不全に陥って、白血球、赤血球、血小板のいずれも造られなくなり数が減少する(汎血球減少と言います)病気です。病名に「貧血」とついていますが、実際は貧血だけでなく汎血球減少を来します。好中球数、血小板数、網赤血球の低下する程度によって、軽症~最重症の4つに分類されます。治療は、免疫抑制療法と造血幹細胞移植に大別されますが、中等症と同胞ドナー不在の重症患者には免疫抑制療法が第一選択であり、同胞ドナーがいる患者は第一選択で骨髄移植が行われます。免疫抑制療法不応の患者さんには非血縁者間骨髄移植が行われます。移植成績は概ね良好で高い確率で治癒が期待できます。

血球貪食リンパ組織球症

リンパ球や組織球の持続的な活性化によって、細胞からの分泌物(サイトカインと言います)が過剰に産生される病気です。血球貪食症候群とも呼ばれます。活性化した組織球は白血球、赤血球、血小板を貪食するため、汎血球減少が起こり、サイトカイン過剰は高熱などの原因となります。骨髄には血球を貪食した組織球の増加を見ることができます。血球貪食リンパ組織球症は、遺伝性と続発性に大別され、遺伝性についてはいくつかの遺伝子が同定されており、続発性の中ではEBウイルス感染に伴うものが時に重症で注意を要します。軽症例は、ステロイドホルモン剤のみで治癒しますが、重症例ではシクロスポリンによる免疫抑制療法や、抗がん剤エトポシドなどで積極的に治療します。遺伝性や難治例では造血幹細胞移植が行われます。

免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病

血小板は、「出血を止める」働きを担っている血液の成分の一つですが、体の中でこの血小板への自己抗体が作られることで、自身の血小板が壊されてしまい、皮膚に出血斑やあざができやすくなる病気が血小板減少性紫斑病です。ステロイドホルモン剤やガンマグロブリン製剤で治療され、小児では約8割が1年以内に軽快するといわれていますが、一部は慢性化して免疫抑制剤や脾臓摘出の治療に進む場合もあります。血小板数が2万/μL以上の場合は無治療にて自然に改善するかを観察することもよくあります。

血友病

「出血を止める働き」は、血小板の他にも凝固因子が重要な役割を担っています。凝固因子は10種類以上が知られており、それぞれが協同で働いています。このうち第Ⅷ因子が身体にないか、あるいは活動が弱くなっている病気が血友病Aで、第Ⅸ因子の場合が血友病Bです。活動の弱さ(凝固因子の活性と言います)によって、重症、中等症、軽症の3つに分かれます。凝固因子の第Ⅷ因子と第Ⅸ因子を作る遺伝子は、X染色体上にあり、この遺伝子に変異がおきることで発症する先天性の病気で、出血時、あるいは出血予防で定期的に凝固因子を補充して管理します。補充療法は重症では乳幼児期から開始されることが多く、大人になるまでそのライフスタイルの変化に合わせて管理の仕方を考えていきます。時に自己抗体(インヒビター)が出現する時があり、その場合は免疫寛容療法という治療やインヒビター存在下でも有効なお薬を使います。当科では日本血栓止血学会認定の血友病診療連携ブロック拠点病院として、血友病専門外来を開設し、県内・外からも多くの患者さんを受け入れ、血友病の患者さんが最適かつ必要な個別的・包括的ケアを受けられるような体制を整えています。

免疫不全症

細菌やウイルス等の感染症から体を防御する仕組みが感染免疫であり、白血球(リンパ球、好中球、樹状細胞)や「抗体」と呼ばれるグロブリン等が協同して働いています。免疫は、様々な外来侵入物に対応できる自然免疫と特定の抗原に対応する獲得免疫に分類されますが、これらの免疫の仕組みが生まれながらにうまく働かない病態を、免疫不全症といいます。免疫不全症は稀な病気ですが種類が多く、普通の感染症が重症化する患者さんの場合以外にも、反復する慢性気管支炎や慢性下痢で体重増加不良などの原因となっている場合もあります。最近は病気の理解が進み、多くの免疫不全症の原因が明らかにされてきています。治療は適正なワクチン使用、予防的抗菌剤の投与、免疫グロブリンの補充、さらに造血細胞移植などがあり、病気の種類と原因により選択されます。

1.多種職連携によるトータルケアの提供

長期入院を要する小学生や中学生の患者さんは、入院治療の間、当院に併設されている拓桃支援学校で勉強を継続することができるので、退院時も勉強が遅れることなく原籍校に戻ることができます。 
当科では医師、看護師、臨床心理士、ソーシャルワーカー、院内学校教師、保育士、リハビリテーション専門職、薬剤師、栄養管理士等が定期的に集まり、患者さん1人1人に最適な医療を提供すべく、トータルケアの実現にむけてチームとして取り組んでいます。また、小児がん診療を専門とする人員の充実や育成に積極的に取り組んでいます。

2.治療後の晩期合併症と長期フォローアップについて

例えば、治療によりがんを克服した後、何年も経過してから抗がん剤や放射線治療などが原因の「晩期合併症」が現れる場合があります。どのような晩期合併症を起こす可能性があるかは、病気の種類だけでなく、治療の内容や治療を受けた年齢などによって異なります。晩期合併症を未然に防いだり早期発見するためには、定期的かつ長期的なフォローアップが必要です。また、造血細胞移植後の患者さんは、体調の回復に長い時間が必要であったり、移植片対宿主病(Graft Versus Host Disease:GVHD)などの様々な移植後合併症のリスクもあることから計画的な長期フォローアップが求められます。
当科では、造血細胞移植後の患者さんの身体的・精神的 苦痛症状を軽減し、QOL(生活の質)の向上を図ることを目的として、退院後の療養生活に対するフォローアップ専門外来を開設しています。フォローアップは成人期を迎えても続く場合があるため、当科では成人を迎えた患者さん一人一人にとって最適な医療について、患者さん・ご家族と供に考え、時に成人医療への橋渡しすることにも積極的に取り組んでいます(移行期支援外来)

よくある質問とその答え

小児急性リンパ性白血病について

国立成育医療研究センターのウェブページを参考にしてください。

小児悪性リンパ腫について

国立成育医療研究センターのウェブページを参考にしてください。

血友病について

ヘモフィリア友の会全国ネットワークのウェブページ
ヘモフィリアねっと

を参考にしてください。

免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病について

難病情報センターホームページを参考にしてください。特発性血小板減少性紫斑病で検索すると、Q&Aをご覧いただけます。

佐藤 篤 
さとう あつし

職名 科長 兼 医療技術部門長(検査担当)兼 臨床研究推進室副室長 兼 医療安全推進室副室長
診療領域
専門領域
血液疾患
資格等 日本小児科学会認定 小児科専門医・指導医
日本血液学会認定 血液専門医・指導医
日本小児血液・がん学会 小児血液・がん専門医・指導医    
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本造血・免疫細胞療法学会 造血細胞移植認定医

力石 健 
りきいし たけし

職名 部長
診療領域
専門領域
血液疾患
資格等 日本小児科学会認定 小児科専門医・指導医
日本血液学会認定 血液専門医
日本小児血液・がん学会 小児血液・がん専門医

小沼 正栄 
おぬま まさえい

職名 部長
診療領域
専門領域
血液疾患

南條 由佳 
なんじょう ゆか

職名 部長
診療領域
専門領域
血液疾患
資格等 日本小児科学会認定 小児科専門医・指導医
日本血液学会認定 血液専門医
日本小児血液・がん学会 小児血液・がん専門医
日本造血・免疫細胞療法学会 造血細胞移植認定医

鈴木 信 
すずき のぶ

職名 部長
診療領域
専門領域
血液疾患
資格等 日本小児科学会認定 小児科専門医