• 当科について
  • 主な対象疾患
  • FAQ
  • 検査値の見方
  • 医師の紹介

腎臓内科は、学校検尿で異常を指摘された方の精査、腎臓の病気(腎炎やネフローゼ症候群)の診断と治療、急性、慢性腎不全に対する透析(血液、腹膜)を含めた治療、また泌尿器科と協力して腎臓や膀胱の形の問題(腎尿路異常−膀胱尿管逆流症、水腎症など)の診療を行っています。
検尿異常については超音波検査を含めた精査を初診時から行っています。腎炎、ネフローゼの患者様については各種画像検査、腎生検を積極的に行っています。腎不全については出生時から透析などの対応が可能です。腎尿路異常については膀胱造影など各種画像検査にて診断を行うと共に、腎機能障害を合併した症例についても対応しています。

腎臓内科の外来では、まず尿検査を行います(結果が出るまで1時間くらいかかります)。尿の成分(蛋白など)の詳しいチェックも行い、問題があれば血液検査やMRIなどの画像検査を行うこともあります。新患の患者さんについては、最初に超音波検査を行うこともあります。

尿検査の異常では、実際に病気がはっきりしない場合もあります。そのような場合にはしばらく経過を見ながら良くなるか、悪くなるかなどを見ていきます。問題がありそうであれば、腎生検を行います。これは腎臓に背中から針を刺して腎臓の組織を顕微鏡で見る検査です。これで腎臓の病気を診断し、治療方針を決めます。

腎炎やネフローゼと診断された場合、治療としてはステロイドを使います。ステロイドは強い薬で、作用と共に副作用もいろいろあるので、注意して使います。また、食事の制限などを行うこともあります。

ネフローゼ症候群

3から5才くらいが好発年齢です。尿から蛋白がたくさん漏れ出て(普通は殆ど出ていません)、体に必要な蛋白が不足し、むくみなどの症状が出ます。この病気は症候群で、いろいろな病気で起こりますが、お子さんの場合にはその9割以上が特発性ネフローゼ症候群と呼ばれる病気です。特発性ネフローゼ症候群の場合、ステロイドという薬が著効するという特徴があります。ですので、ステロイドを投与して2週間くらい薬の反応を見ます。2週間くらいしておしっこの蛋白が消えなければ、腎生検を行います。
また、特発性ネフローゼ症候群は再発しやすいことが特徴でもあり、この病気にかかった人の1/3は1回きりですが、1/3は時々再発し、1/3は頻繁に再発します。再発が多い人の場合、免疫抑制剤を使うことがあります。また、最近ではリツキシマブという薬を使うこともあります。

急性腎炎

溶連菌感染などの後におしっこが出にくくなり、むくみが出てきます。体に水が溜まるので、血圧も上がり、ひどい場合にはけいれんすることもあります。赤い(赤黒い)おしっこが出てくることが多いです。自然に治ることが殆どですが、治ってくるまでおしっこを出す薬を使ったり、血圧を下げる薬を使います。

IgA腎症

慢性腎炎の一つで、日本人では慢性腎炎の原因としては一番多い病気です。おしっこの検査(学校検尿など)で血尿として見つかることが多いです。腎臓の糸球体(おしっこを血液から濾し出すところ)に炎症が起きてIgAという物質が溜まっています。風邪を引いたりするとおしっこが赤くなることもあります。自覚症状が少ないので放っておくと、将来おしっこが出なくなって腎不全になることもあります。診断は腎生検で行います。治療は主に1.ステロイド、2.扁桃摘出を行います。

腎盂腎炎

腎臓に細菌が入り込んで腎臓に炎症が起こります。膀胱から膀胱尿管逆流症(膀胱から腎臓におしっこが逆流する)によって菌が入り込むことがあり、その場合、繰り返すことが多いので、膀胱造影という検査(膀胱に管を入れて造影剤を入れて写真を撮る)をする事もあります。治療は、抗菌薬を使って行いますが、膀胱尿管逆流症がひどい場合などは、繰り返さないように1年程度予防投与(少量の抗菌薬を飲み続けてもらう)する事もあります。

腎低形成・異形成

腎臓がもともと小さかったり、腎臓の中の構造に異常があったりする病気です。生まれる前からわかっていることもありますが、大きくなってから(中学生くらい)初めてわかることもあります。だんだん腎臓の機能(老廃物を出す能力など)が悪くなり、骨の異常や貧血、血液が酸性になるなどの症状が出てきますので、血液検査などで症状を見ながら薬(骨を強くする薬、貧血を良くする薬、血液をアルカリにする薬など)を使っていきます。

慢性腎不全

腎臓の機能が悪くなり、腎臓の機能が1/10位になると、透析をします。お子さんの場合、特に小さいお子さんの場合には、腹膜透析という方法をとることが多いです。

主な関連学会

日本小児腎臓病学会
日本腎臓学会

よくある質問とその答え

腎生検で入院する場合、入院期間はどのくらいでしょうか?

通常は金曜日に入院していただき、月曜日に腎生検を行って翌週の月曜日に退院となります。合併症(出血など)があれば伸びることもあります。また、腎生検後1か月は激しい運動は控えていただきます。

膀胱造影は入院が必要でしょうか?

基本的には外来で行っています。膀胱造影の場合、検査時間は10〜15分くらいが一般的です。検査中おしっこを出してもらいますので、おしっこがうまく出せないと時間がかかります。膀胱までカテーテルを挿入しますが、その際に粘膜面を傷つけてしまい検査同日に赤いおしっこが出ることがあります。翌日以降も持続する場合には外来へご連絡ください。

外来の待ち時間はどれくらいでしょうか?

腎臓の病気はかなり悪くなるまで症状がでないことが多く、尿検査、血液検査で病状を判断するため、検査の結果が出てから診察することになります。検査の結果が出るまで1時間程度かかるため、検査を出してから1時間くらいはお待ちいただく事になります。

ステロイドや免疫抑制剤を使っていて注意することは何でしょうか?学校に通えるのでしょうか?

ステロイドや免疫抑制剤を使っていても普通に学校生活などを送ることは可能です。ただ、食事の制限(塩分制限など)や、感染に対する注意(マスクやうがい)は必要です。

尿検査

1.蛋白

尿タンパクの濃度を (-) ~ (4+) で判定します。尿タンパクの有無を簡単に評価できますが、おしっこが濃いと正常でも (+) になったり、薄いとタンパクが出ていても (-) となったりします。

2.U-Pro/Cr

おしっこの濃さの影響を補正した尿タンパクです。正常は0.15 以下です。腎炎やネフローゼ症候群、その他の様々な病態で増加することがあります。
通常は尿タンパクが出ていても無症状ですが、徐々に腎機能が悪化する場合があるため注意が必要です。高度な尿タンパクでは血清タンパクが減少しむくみが出ることがあります(ネフローゼ症候群)。

3.潜血

尿中のヘモグロビン反応を (-) ~ (3+) で判定します。
高度な血尿では尿が赤く見えることがありますが、通常は無症状です。

4.赤血球

顕微鏡で数えた尿中の赤血球数です。一視野に5個以上の赤血球があった場合に血尿ありと判断します。腎炎のほか、膀胱炎やナットクラッカー現象(腎臓の静脈のうっ血)でもみられます。

5.尿中β2MG(尿中ベータ2ミクログロブリン)

炎症がある場合、腎機能が悪い場合、腎臓の一部(近位尿細管)の障害などで排泄量が増加します。尿の濃さにも影響を受けます。
尿中β2MGが増加しただけでは無症状ですが、尿中β2MGが増加した原因による症状が出る可能性があります。

腎機能

1.尿素窒素(BUN)

脱水や腎機能の悪化などで上昇します。
あまり高値だと食欲不振、集中力の低下等、尿毒症の症状が出てきます。

2.クレアチニン(Cre)

腎機能の指標となり、腎機能が悪化すると上昇します。ただし、筋肉量の影響を受けるため体格によって変動するため、基準値は個人によって異なります。
腎機能が悪化すると水分やミネラルのバランスが崩れ体調を崩す可能性があります。進行すると骨代謝の異常やホルモン不足による貧血が出てきます。

3.ベータ2ミクログロブリン(β2MG)

腎機能の指標となり、腎機能が悪化すると上昇します。炎症でも上昇することがあります。
腎機能の悪化による場合はクレアチニンと同様の症状が出ます。

4.シスタチンC

腎機能の指標となり、腎機能が悪化すると上昇します。甲状腺機能低下症では低下・甲状腺機能亢進症では上昇し腎機能を正確に反映しない可能性があります。
腎機能の悪化による場合はクレアチニンと同様の症状が出ます。

電解質

1.ナトリウム(Na)

いわゆる“塩分”のことです。ナトリウムと体の水分のバランスが崩れると変動します。
軽度の異常ではほとんど無症状です。重篤なものでは低ナトリウム血症でも高ナトリウム血症でも痙攣や意識障害などの脳神経症状がみられます。

2.カリウム(K)

カリウムの摂取量と排泄のバランスが崩れると変動します。採血が難しく溶血してしまった場合にも高値となります。
高カリウム血症では手がしびれる、胸が苦しいなどの症状が出ることがあります。また低カリウム血症では脱力発作を呈することがあります。極端な高カリウム血症や低カリウム血症は不整脈が生じることがあります。

3.カルシウム(Ca)

何らかの理由で骨代謝のバランスが崩れると基準値から外れます。腎機能が悪化すると低カルシウム血症を呈します。低蛋白血症(低アルブミン血症)では見かけ上のカルシウムの値が低下します。
低カルシウム血症では手足のしびれや脱力、痙攣が起こります。高カルシウム血症では嘔気・嘔吐や痙攣が起こります。

4.リン(P)

摂取量が少ない場合や尿からの排泄が少ない場合に低値となります。腎機能が悪化すると排泄量が減少し高値となります。
低リン血症では筋力低下や呼吸不全を呈することがあります。高リン血症はほとんどの場合無症状ですが、腎機能が悪化して高リン血症の状態が続く場合には血管の石灰化(動脈硬化)をきたす可能性があります。

5.重炭酸(HCO3-)

何らかの理由で不足すると血液が酸性に傾きます。慢性的に呼吸状態が悪い場合にはバランスを取るため高値となります。
かなり低値になると、疲れやすい、胸が苦しい、息苦しいなどの症状が出てきます。

骨関連

1.アルカリフォスファターゼ (ALP)、骨型ALP

年齢によって基準値は異なります。成長期に高くなりますが、測定法によっても基準値が変化します。また、骨代謝障害などで高値になります。高値の場合には骨が脆くなったり、膝や足などの関節痛、骨折が出現したりすることがあります。

2.副甲状腺ホルモン(PTH-INTACT)

腎機能が低下して骨障害が出た時などに高値となります。
高値の場合には骨が脆くなったり、膝や足などの関節痛、骨折が出現したりすることがあります。

その他

1.TP(総タンパク)

血中の総タンパクです。低栄養状態や尿からのタンパク喪失が多い場合などに低下します。
不足したタンパクの種類・程度によってさまざまな症状が出る可能性があります。

2.Alb(アルブミン)

タンパクのうち、主に血管内に水分を保つ役割を果たします。ネフローゼ症候群では尿からの喪失により低下します。
アルブミンが不足すると血管内に水分が維持できず”血管内”脱水となります。一方で余った水分は間質(皮下など)に溜まるため、むくみもみられます。

3.BNP(ビーエヌピー)

見方:心臓から分泌されるタンパクの一種です。血管内に水分が多く心臓に負荷がかかると増加します。
BNPが高い状態ではむくみや高血圧がみられる可能性があります。腎機能が悪化して充分な尿量が保てない場合などが想定されます。

4.ヘモグロビン(Hb)、へマトクリット(Hct)

血中で酸素を運搬する役割を果たすのが赤血球の成分がヘモグロビンです。血液の赤血球の割合がヘマトクリットです。いずれも貧血により低下します。鉄分や腎機能障害によるホルモンの不足であれば鉄剤やホルモンの投与を行います。また、水分過剰だと血液が薄まり低値に、脱水だと血液が濃縮され高値になります。

稲垣 徹史 
いながき てつじ

職名 科長・部長
診療領域
専門領域
腎疾患

木越 隆晶 
きごし たかあき

職名 医長
診療領域
専門領域
腎疾患
資格等 日本小児科学会認定 小児科専門医
日本腎臓学会認定 腎臓専門医