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リウマチ・感染症科は小児リウマチ性疾患と小児感染症の2つの領域を専門としています。リウマチ性疾患は関節症状を呈する疾患の総称で、膠原病や一部の自己免疫疾患と呼ばれる疾患群と重複します。一般的には成人女性に多いとされていますが、小児にも起こり得ます。基本的には体の中で慢性的に炎症が持続し、発熱や倦怠感、関節痛などが現れ、疾患によっては特徴的な発疹や腎臓や肺など個別の臓器に障害が及ぶ場合があります。炎症や痛みが持続することは、成長期にある小児にとって多大な負担となり、肉体的だけではなく精神的なダメージにつながることがあります。治療は長期に及ぶこともありますが、早く炎症を取り除き、日常生活を少ない負担で過ごすことができるようにすることが治療の目標となります。

一方、小児感染症の領域は大きく分けると、感染症の治療と、感染予防の視点からみた感染対策から成り立ちます。当科では重症の感染症や比較的稀な感染症、あるいは免疫の低下状態にある患者さんに対する感染症治療などを対象としています。また、感染対策の面では、病院内の環境整備や日々の医療的処置に係る手技・物品の管理などを行っています。これらの業務は医師だけではなく、看護師や薬剤師、検査技師などと協力しています。

小児リウマチ性疾患において、まずは診断をすることが重要となりますが、その診断が難しいことがよくあります。血液検査やCT、MRIなどの画像検査を必要とすることも多く、場合によっては入院の上でそれらを行うことがあります。疾患によっては診断から治療、体の状態が落ち着くまでの期間が数週間に及ぶことがあります。
治療の目的は炎症を抑えることになりますが、ステロイドや免疫抑制剤が中心となります。それらの使用においては感染症など注意する点もあり、薬の作用・副作用を理解した上で経過をみていくことになります。

小児感染症治療において、何の病原体(細菌、ウイルスなど)がどこから出ているのか(血液や尿、皮膚など)を知ることが大切になります。その情報から適切な治療薬を選択していきます(抗菌薬の種類など)。情報は検査部から当科と主治医の診療科に共有され、患者さんの状態をみながら適切な治療薬を使用していきます。また、予防接種にも関わることがあります。様々な事情で予防接種のスケジュールが崩れた例や、海外渡航に際する予防接種など、必要に応じて介入することがあります。

小児リウマチ性疾患

若年性特発性関節炎(JIA)

「16歳未満で発症し、6週間以上持続する原因不明の関節炎で、他の病因によるものを除外したもの」が定義となります。分類上は7つの型に分かれますが、大部分は全身型、少関節炎、多関節炎のいずれかになります。病型によって症状、予後、治療法が異なってきますが、現在は生物学的製剤(点滴または皮下注射)の登場により以前と比べて格段に症状のコントロールが可能となっています。

全身性エリテマトーデス(SLE)

発熱や皮疹(代表的なものは蝶形紅斑と呼ばれる顔面に出現する発疹)、関節痛などが出現する疾患で、小児期では10歳代女子で発症することが多いです。腎臓に炎症が及ぶことが多く、血尿や蛋白尿がみられることがあります。治療はステロイドや免疫抑制剤が中心となりますが、根気強く内服薬を中心とした治療を続けることで、問題なく日常生活を送れることが多くなってきています。
*小児リウマチ性疾患の多くは小児慢性特定疾病対策の対象疾患となっています。小児慢性特定疾病情報センターのホームページには、疾患情報や医療費助成制度などについての情報があります。ご参照ください。

小児感染症疾患

急性感染症

  • 肺炎、気管支炎、尿感染症、急性胃腸炎、蜂窩織炎などの一般感染症
  • 化膿性髄膜炎、ウイルス性中枢神経感染症、感染性心内膜炎、化膿性関節炎、化膿性骨髄炎などの重症感染症

慢性感染症

  • 慢性骨髄炎、サイトメガロウイルス・EBウイルスなどによる慢性感染症、排菌していない結核感染症、BCG感染症など

その他

  • 先天性感染症、周術期感染症、性感染症、原疾患に対する治療などで予防接種が遅れた方への対応

肺炎/気管支炎

空気の通り道である気管支や肺に、細菌やウイルスが感染して起こります。感染を起こす微生物は年齢や基礎疾患の有無、周囲の流行状況、ワクチン接種の有無などにより異なります。細菌感染には抗菌薬が効きますが、ウイルス感染には抗菌薬は効きません。症状としては発熱や咳が主ですが、赤ちゃんや小さいお子さんでは食欲低下などの症状のみではっきりしないこともあります。呼吸のサポートや点滴の必要性に応じて、入院あるいは外来で治療を行います。肺炎球菌ワクチンやHibワクチン、季節性インフルエンザワクチンなど、ワクチンで予防できる感染症を予防しておくことも重要です。

尿路感染症

尿路(尿が作られる腎臓から尿道口までの間)に感染が起こることをいいます。感染はほとんどの場合、大腸菌などの細菌が尿道口から侵入することで生じます。発熱のほかには腹痛・嘔吐・哺乳不良などが唯一の症状であることもあり、見過ごされやすい感染症です。尿の中に細菌や白血球が存在することで診断し、細菌の種類や抗菌薬の効きやすさに応じて適切な抗菌薬を選択し治療します。診断前に抗菌薬を内服すると、原因菌が分からなくなり、治療が難しくなることがあるため、発熱時には自己判断で抗菌薬を内服しないようにしましょう。尿路感染症をきたすお子さんの中には、尿が膀胱から腎臓へ逆流しやすいなどの生まれつきの問題を抱えていることがあるため、尿路の問題がないか調べることもあります。

主な関連学会

日本小児リウマチ学会
日本リウマチ学会
日本免疫不全・自己炎症学会
日本小児感染症学会

よくある質問とその答え

リウマチ性疾患は治りますか?

小児期で発症したリウマチ性疾患において、数か月から数年の治療により症状や検査値がまったく問題なくなり、治療・通院が必要ではなくなる例もあります。それは疾患やその病型にもよります。もちろん成人になってからも通院が必要な場合も多くみられます。ただし、少ない薬剤で調子が良い状態を保つことは十分可能なことが多く、進学・就職・結婚なども普通にできる方が多いです。

リウマチ性疾患で治療中に日常生活で気をつける点は何ですか?

リウマチ性疾患の多くは、疲労やストレス、天候などでも体調が左右される場合があります。決められた薬を忘れずに服用することはもちろんですが、以下のような点が一般的な日常生活で気をつけることとして挙げられます。


  • 規則正しい生活を送る

  • バランスの取れた食事を摂る

  • 適度な休息をとり、疲れをためない(肉体的にも精神的にも)

  • 感染症を予防すべく、うがい・手洗い等を励行する(患者さんも家族も)


他にも個々の疾患、患者さんの状態により、気をつける点が異なってきます。

風邪について教えてください

子供がかかる感染症で最も頻度が高いものは感冒、いわゆる風邪です。健康な子供でも、年8回以上風邪にかかることがあります。風邪はウイルスによる感染症であり、こども自身の治癒力により自然に回復していきます。注意してほしいのはウイルスが原因の風邪では抗菌薬は効果がありません。効果がないばかりではなく、副作用として下痢や低血糖などを起こす可能性があります。また抗菌薬の不適切な使用により、抗菌薬の効かない耐性菌が発生するリスクにもなります。風邪の症状は発熱に加え、咳、鼻水などの症状を認めます。大事なことは風邪のようにみえる風邪ではない病気を見逃さないことです。

梅林 宏明 
(うめばやし ひろあき)

職名 科長
診療領域
専門領域
小児リウマチ性疾患
資格等 日本小児科学会認定 小児科専門医
日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医
日本小児リウマチ学会理事

桜井 博毅 
(さくらい ひろき)

職名 部長
診療領域
専門領域
小児感染症
資格等 日本小児科学会認定 小児科専門医
ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター

齋藤 秀嘉 
(さいとう ひでか)

職名 医師

谷河 翠 
(たにかわ みどり)

職名 医師

 

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