房室中隔欠損症 Atrioventricular septal defect (AVSD)

心房と心室の間の仕切り(心内膜床)がない病気です。 
かつて心内膜床欠損症とも呼ばれていました。
21トリソミー(ダウン症候群)に多く合併します。
心房中隔欠損と心室中隔欠損による余分な血液の流れに加えて、左右の共通房室弁逆流が合併するため、大量の血液が肺動脈に流れこみ、乳児期から重症な心不全(哺乳不良、多呼吸、体重増加不良など)を引き起こし、外科手術が必要となります。
外科手術は、胸骨正中切開アプローチで、人工心肺使用下に、2枚のパッチで心房中隔欠損と心室中隔欠損をそれぞれ閉鎖し、さらに房室弁形成術を合わせた根治手術を行います(図)。
しかし、体重が小さい(3kg未満)場合などは、根治手術の侵襲が大きいため、姑息手術として肺動脈絞扼術(バンディング)を先に行う場合もあります。これにより肺の血流を抑えて心不全をコントロールし、体重増加をまってから段階的に根治手術を行います。

根治手術の注意するべき合併症

  • 刺激伝導系障害による房室ブロック 
    永久的障害ではペースメーカーが必要になります。(正常循環の項参照)
  • 房室弁逆流の残存、パッチ周囲の血流遺残
    程度が多い場合は再手術が必要となります。
  • 左室流出路狭窄
    AVSDの心臓の形状から引き起こしやすく、程度が高度の場合は手術が必要になります。

心臓シェーマ

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